更新日 2021.9.25 発達障害とは
自閉症(自閉スペクトラム症)に共通する特徴は、興味や行動の偏り、対人関係やコミュニケーションの困難さといったものがあります。
しかし、一口に自閉症といってもその症状には個人差があり、成長とともに変化するため、一つの症状が見られるからといって自閉症だと断言することはできません。
判断する際は、年齢や性別、発達段階などを考慮して総合的に判断します。
そこで今回は、自閉症にいち早く気付くために、0歳~4歳の子どもの年齢別に自閉症の特徴について見ていきたいと思います。
生後から12か月ごろ
自閉症の特徴の一つに視線が定まらないことが挙げられます。
乳幼児は、生まれながらに人の顔を好む傾向にあり、生後早い段階で人と視線を合わせるようになるのが一般的です。これは、科学的にも証明されています。
しかし自閉症の赤ちゃんは、人の顔よりも顔の横にある耳や、周囲にある背景に興味を示すことがあり、養育者の方を向いていても、目が合わない、視点が定まらないといった特徴が見られます。また、触覚や聴覚などの感覚が過敏で、抱っこをしようとすると身体を大きく反らしたり、聞きなれない音に異常に反応したりする様子があるのも特徴です
一方で、誰にでも抱っこを求めたり(人見知りがない)、呼びかけや大きな音に無反応であったりと、感覚鈍麻(感覚の鈍さ)が見られる場合もあります。
生後12か月ごろまでの赤ちゃんの成長は個人差がとても大きく、紹介したような特徴が、自閉症による症状なのか発達の個人差によるものなのかを断定することが難しいです。この段階では、経過観察をして様子を見る流れが多いようです。
1歳から2歳ごろ
1歳から2歳ごろの赤ちゃんは、自分とは違う人と同じものに注意を向けることや、ものを指さして他人の注意を引いたり、大人の表情を見ながら行動をとったりなどといった動きが見られます。これらの行動は「共同注意」と呼ばれるもので、この共同注意は、他者の視線を追うことから始まります。
しかし、自閉症の子どもは、先ほどお伝えしたように、他者と目が合わないといった特徴があることから、これらに関連する行動が著しく少ない傾向にあります。
そのため、言葉が遅れたり、誰かの注意を引きたいときにその人の手を直接ものに触れさせる「クレーン現象」という行動をとったりします。また、極端に好き嫌いが多く、離乳が上手くいかない、睡眠時間が安定しない、眠りが浅いなどの睡眠障害が見られるのも一つの特徴です。
1歳から2歳ごろの時期は、今後の発達を促すために、自閉症を示す症状が少ない場合であっても、療育をスタートさせることがあります。
2歳から3歳ごろ
2歳から3歳ごろの自閉症の子どもは、興味が限定的で、好き嫌いが顕著になるといった特徴があります。一例に、一つの遊びに没頭したり、お気に入りの色以外のものを身につけるのを嫌がったり、遊びの順序にこだわったりなどが挙げられます。
また、身体の使い方が不器用で、動きのぎこちなさや、走る、跳ねるなどの全身運動の苦手さ、身体を支える体幹の弱さが目立つようになることも。
一方で、手をひらひらさせる、身体を揺らす、同じところをぐるぐる回るといった常同行動が見られることもあるようです。
他にも、「おいで」と言われて、その場で「おいで」と同じ言葉を繰り返したり、他者へ近づきながら「おいで」と言ったりなど、言葉の理解と使用の特異的さが見られることもあります。
2歳から3歳ごろは言葉を発する子どもが多くなりますが、自閉症児には言葉が全く出ないケースも多く、言語発達の遅れが自閉症と気付くきっかけになることもあるようです。一方で、一度見ただけのアニメのセリフを覚えて再現したり、一度通った道順を正確に覚えたりと、年齢に見合わない高い能力が発揮されるといった特徴が見られることもあります。
3歳から4歳ごろ
自閉症は、社会的コミュニケーションや相互関係における持続的な障害なので、集団の中で過ごすようになると、その特性が目立つようになります。そのため、多くの子どもが保育園や幼稚園に通い始める3歳から4歳の時期に、自閉症である可能性に気付く親もいるようです。
このころに見られる特徴は、みんなと一緒に行動するのが苦手で、ひとり遊びをして過ごすことが多い、集団生活が苦手などという点。また、言語発達の遅れから、自分の欲求を上手にお友達に伝えられなくて、お友達とけんかになったり、おもちゃを片付ける位置にこだわるあまり、他のお友達がおもちゃで遊ぶことが許せなくて独り占めしたりと、いわゆる「問題行動」が増えるもの特徴です。
このような行動は目に付きやすく、保育園や幼稚園から発達の遅れを指摘されることもあるでしょう。また、泣いているお友達をなぐさめたり、困っているお友達を助けたりする向社会的行動(金銭や物的な報酬を目的とせずに、人のためにする行動)が少ないことも特徴的です。
のちに自閉症と診断が確定した子どもの多くが、3歳児検診で要観察となり、療育をスタートしています。
子どもに気になる特徴があったときには
子どもの発達には個人差があるため、何歳で必ずこの特徴が出る、またはその対処にはこれといった確定的なものはありません。
しかし、早い段階で親が特徴を察して、医療機関や療育機関と繋がることで、その子にあった療育をいち早くスタートすることができます。
気になる症状があり、それが3か月程度継続する場合は、小児科、児童精神科、自治体や民間の子育て支援窓口、療育機関などに相談しましょう。そうすることで、保護者の不安も軽減され、保護者にも本人にもプラスになることでしょう。