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発達障害の特性は強みにもなる

更新日 2021.9.10 発達障害とは

ADHD(注意欠如・多動症)の特性である、不注意、多動・衝動性は、「忘れ物が多い」「落ち着きがない」など、マイナスのイメージを持たれることが多いのですが、実際には、こだわりの強さや高い集中力を持っていて、日常生活ではもちろん、学業や就業の場で大きな強みとなることもあります。

【ADHDのメリットとなる特性と活かせる場面】 

・学校生活では

人前で話すことに抵抗がない子どもが多く、クラスのリーダーやムードメーカー的な存在として信頼を得ます。次々と興味や関心が他のものへ移る特性は、新しいアイデアを生み出す原動力でもあります。この特性は、芸術やスポーツの分野で高い能力を発揮します。興味の幅が狭く、一つのものに集中する特性は、特定の分野で高い知識を身につける助けとなります。その秀でた能力をもとに、推薦制度や特待生制度を利用して進学、就学する方が増えています。

・職業生活では

学校や家庭以外の活動の場が広がり、その人らしく行動できる場面も広がります。

小さいころには、じっとしていられない、ルールが守れないといった行動のもととなる多動性・衝動性は、大人になると、行動的、革新的へとイメージが大きく変わります。これまで誰も考えつかなかったアイデアを思いつき、その思いつきを実際の行動に移せる行動力は、起業家やアーティストに向いています。一つのものに興味が集中する特性は、研究者や開発者に向いています。ルールや手順に忠実な特性は、事務やものづくり、手続き作業などに適しています。ADHDの特性がビジネスに結びつくことも多いため、企業が積極的にADHDの特性を持つ方を採用することが増えており、ADHDの特性を持つ方が働きやすいように時短勤務や在宅勤務ができる環境の整備も進んでいます。

・日常生活では

片付けができない、食事や体調の管理が苦手、人との関わり方が分からないなど、ADHDの特性によって日常生活の質が低下しがちです。しかし、特性に合わせたソーシャルスキルトレーニングの実施や、特性を理解してくれるパートナーの存在によって、生活の質を高めることができます。多趣味であったり、一つのものに熱中したりする様子は、「おもしろい人」「ユニークな人」ととらえられることが多く、同じ趣味を持つ仲間と出会うきっかけや、新たな世界を開くきっかけとなります。

【いいところがたくさんあるのに困りごとが多い理由】

・「周りの人たちが」困る困りごと

ここまで見てきたように、ADHDの特性には良いところがたくさんあります。しかし、「時間を守るのが苦手」「一方的に話す」など、多くの人と関わりながら生活する場面では、受け入れにくい特性と認識されることがあります。多くの人が、その人の特性を受け入れられないと感じるとき、ADHDの特性は、周りの人たちにとっての「困りごと」となります。

・良いところに目が届かない

困りごとにばかり目がいってしまい、良いところに気がついていないこともあります。

さらに、多くの人は困りごとをなくさなければならないと考えているため、特性を活かすことよりも、なくすことに重点を置いてしまい、良いところを隠してしまって、困りごとばかりが目立ってしまうことがあります。

・適切な対処法を知らない

時間通りに起きられない、時間を勘違いしている、別のことに没頭して時間を忘れてしまう。これらは、「いつも遅刻する」原因として考えられることです。遅刻をしたくないと思っても、遅刻する原因が分からず見当違いの対処をしているとしたら、遅刻を防ぐことはできないため、困りごとのきっかけとなる原因を正しく見極めることが大切です。また、原因が明らかになれば、その原因を引き起こす根本的な要因も明らかになり、より対処がしやすくなります。

幼少期にADHDと診断され療育受けていた経験のある方の中には、大人になってからも小さいころに学んだスキルで対処しようと試みるケースがあります。年齢に合わせたソーシャルスキルトレーニングやストレス対処法を学び、スキルをアップデートすることも大切です。

特性は強み

コップに半分の水が入っている様子を見て、「あと半分しかない」と思うか、「まだ半分残っている」と思うか、同じものを見ても違った考え方ができます。しかし、どちらの考え方であっても、コップに半分の水が入っているという事実は変わりません。

特性も同様で、悪い部分を見て困りごとと考えることも、良い部分を見て活かせるものと考えることもできます。また、特性は環境によっても、とらえ方が大きく左右されます。静かにしていないといけないところで、ダンスをするのは迷惑ですが、ステージの上でダンスをすると、パフォーマンスやアートと呼ばれます。

特性の見方を変えること、特性を活かせる環境を知れば、特性はその人だけの強みとなります。

自分の強みを探すには

今回、ADHDの強みをご紹介しましたが、ここで紹介したものがすべてではありません。発達障害の症状は個人差が大きい分、一人ひとりが持っている強みも異なります。その人らしい強みを、どのような場面で活かせるか、ぜひ一度、専門家にご相談ください。

参考文献

https://www.ncasa-japan.jp/notice/duplicate-obstacles/developmental-disorder

専門家にすぐ聞ける。
ちょこっと聞ける。

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