更新日 2021.3.24 生活
発達が気になるお子さんの中に、マスクをつけることに抵抗を感じる場合があります。2020年に発達障害情報・支援センターによる調査によると、発達障害者の56%がマスクの着用について、「我慢して着用している」「着用が難しい」と訴えがあります。肌にマスクが触れる質感や、耳が引っ張られる感覚などに我慢できないお子さんが多くいらっしゃいます。しかし、学校や保育園などの人と接する生活の中で、マスクの着用を求められる場面は多いでしょう。マスクをしないことで、買い物をしたり、公共機関を利用する際にも止められてしまうことがあります。
今後も続くだろうマスク事情について、親御さんとしては、どうすればよいのかと心配になるでしょう。この記事では、マスクをつけることに抵抗があるお子さんへの対応について3つのおススメを紹介します。この記事を読んで、お子さんが、家の外でも楽しく過ごせる環境づくりをしていきましょう。
マスクを嫌がるお子さんに対して、親が出来る対策とはなんでしょうか?ここでは、3つの方法を紹介します。
①マスクがつけられるように練習をする
マスクをつけることに抵抗が強いお子さんに、少しずつ慣れていく練習をしてみるのも1つです。
本人の抵抗感を減らすことで、徐々につけられる場所や時間を増やしていくことを目指します。けれど、ムリに練習を続けると、余計にマスクに対する拒否反応が強くなってしまう可能性があります。ムリせず、少しずつ始めるのがポイントです。
②マスクの代替え品を見つける/マスクを工夫する
マスクの代わりになるもので試してみましょう。フェイスガードは、直接肌に触れる部分が少ないので、抵抗感が減る場合もあります。
また、フェイスガードは透明なので、口を見ることが出来ます。顔の表情が読み取りづらく、コミュニケーション場面で困り感を持っていたお子さんにとっても、周囲がフェイスガードを利用することで、使用しやすくなるでしょう。
その他にも、マスクの素材を色々と試してみるのも良いでしょう。子どもが嫌がらない生地が見つかれば、手作りマスクをつくることで感覚の過敏さは軽減されるでしょう。
③周囲に理解を求め、マスクをつけないで生活をする
どうしてもお子さんが嫌がるようでしたら、無理やりマスクをつけさせるのではなく、周囲に理解を求めるのも1つです。保育園や学校に、感覚過敏を理由にマスクを使用することが難しいことを説明し、マスクをはずして生活が出来るようにしましょう。
感覚過敏研究所 https://kabin.life/archives/1633 では、マスクやフェイスガードを使用することに難しさがあることを一目でわかるシールを作成しています。ネームホルダーなどに貼って持ち運ぶことによって、周囲に何度も説明をする面倒を避けることができるでしょう。
まわりのお友達がマスクをしているのに、うちの子だけマスクをしていなかったら、批判をされたり、場合によってはいじめられてしまうのでは?と心配される方もいるかもしれません。実際に、「自粛警察」と呼ばれる人たちがいるぐらい、「マスクをしていない人=ダメな人」とレッテルを貼られ、批判の対象になる場合があります。
これは、とても難しい問題のひとつですが、大人がしっかりと感覚過敏のあるお子さんへの理解をもつ必要があります。WHOの「COVID-19に関連した地域社会の子どものためのマスク使用に関するアドバイス」では、「発達上の障害や他の障害、またはマスク着用に支障をきたす可能性のある特定の健康状態をもつ子どもに対しては、マスクの使用を強制するべきではない」としています。厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14297.html
世界的な基準として、マスクを強制的に使用しないという通達を知り、周囲の子どもたちや保護者に対しての理解を促していくことが大切です。その為には、まず大人側が過度なルール作りをしたり、強要する姿勢を作るべきではないでしょう。マスクをしていない子どもに対する大人の反応を、子どもたちはちゃんと見ています。マスクだけに限らず、人はそれぞれ苦手なことがあるという多様性を受け入れる社会を築いていく必要があるでしょう。
この記事では、感覚過敏のある発達が気になるお子さんのマスク対策についてご紹介しました。周囲と同じようにマスクがつけられるようになるには、くり返し練習をしたり、本人にあったものを取り入れることが大切です。
一方で、お子さんが抱えるつらさを理解し、受け入れていく環境を作っていくことも大切です。お子さんの苦手なこと(わがままではない)を認め、受け入れていく社会が出来ていくことで、子どもたちの笑顔が増えます。マスクをつける・つけないの問題だけでなく、それぞれの違いを尊重し合える社会を作っていきましょう。