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ASDの診断を受ける時期は?

更新日 2021.10.26 診断

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)の主な症状は、社会的コミュニケーションの障害、および興味の限局と常同的・反復的な行動で、その症状は乳幼児期に発現します。

しかし、乳幼児期には症状があまり目立たず、後に目立つようになる場合もあります。

ASDにおいては、早期に適切な支援を受けることで、本人が生活する上での困りごとが減り、自己肯定感が高まります。どのような支援が必要かを明らかにするためには、診断がとても重要です。

今回は、ASDの相談が多い乳幼児期の診断を中心に、学童期、青年期、成人期での診断について解説します。

乳幼児健康診査(乳幼児健診)

・乳幼児健診時の診断および発見の意義 

ASD(自閉スペクトラム症)の特徴は幼少期から見られますが、社会性や言語の発達段階にある乳幼児にとって、気になる言動が、個人差によるものなのか、ASDによるものなのかを見極めることは難しいのが現状です。そのため、ある程度の年齢になってからASDと診断されることもありますが、早期に発見し、早期に対応を始めることを目的に、乳幼児健診でASDの兆候を見逃さない取り組みが実施されています(発達障害者支援法第5条)。こうした取り組みの成果もあって、ASDが見過ごされることが少なくなり、適切な療育を受けて社会で活躍する方が増えています。

・健診の内容と診断について

乳幼児健診は、それぞれの月齢、年齢に見合った発育、発達を観察して、子どもの健康保持や増進につなげる目的で実施されます。疾患や身体の発育、心の発達に問題がある場合であっても、早い段階で発見できれば、その進行を防止したり、生活習慣の自立に向けた適切な援助を開始したりすることができます。また、医師や保健師に子どもの様子や子育てについて相談できる場でもあり、保護者の子育てをサポートする役割も担っています。

・乳児健診 

1歳までの乳児に対して、発育状況の確認、保護者の体調や育児の不安についてヒアリングを行います。乳児健診の実施は市町村が主体となって行うため、自治体によっては、3か月健診、6か月など、健診を実施する月齢が異なります。この時期の赤ちゃんの成長は個人差が大きく、加えて、その子の成長の速度や嗜好が分かりにくいため、ASDの可能性が疑われるケースでも、多くの場合で経過観察となります。

・1歳6か月児健診

この時期は、赤ちゃんの歩行の様子や話し言葉などから、身体の発育や心の発達の状態が見えやすい時期です。乳児期を過ぎて、立つ、歩く、話すなど、行動が活発になるため、ASDの特性も見えやすくなります。健診の結果、心身の成長に何らかのサポートが必要と考えらえる場合には、経過観察(乳幼児経過観察健康診査)、または療育を開始します。1歳6か月児健診は、成長の様子やASDのリスクを見極めるのにとても重要な時期であるため、母子保健法によって法定義務とされています。

・3歳児健診 

体つきはしっかりとし、乳歯が生えそろいます。気持ちの面での自立が見られ、自分の意思でいろんなことに挑戦したい気持ちや、保護者以外のお友達と遊びたい気持ちが強くなります。1歳6か月児健診と同じく、母子保健法によって実施が決められている健診です。1歳6か月児健診の内容に加えて、精神発達などの検査や指導、歯科検診が加わります。この時期に、同じ動作を繰り返す、興味の幅が狭い、対人関係を極端に避けるなどの行動が見られる場合は、ASDのリスクが高いといえます。しかし、リスクが高いからといって即ASDと診断するわけではなく、個々のニーズを見極めて、必要なサポートを提供することを優先します。現在では、はっきりとした診断がなくても、必要な場合には療育が受けられる制度が整っているため、お子さんの行動に不安がある場合は、積極的に専門家に相談してください。

就学時健康診断 

・教育的観点からの就学時の診断と発見の意義 

子どもたちが、安心して、安全に学校へ通い、学習を進められるように、義務教育のスタートに合わせて、子どもの心身の健康状態や、視力、聴力、疾病やアレルギーの有無などを検査、確認します。学校によって対応できる事項が異なるため、個々に合った就学先を選択する助けにもなります。また、一人ひとりの学び方の傾向や、つまずきやすいポイントを事前に把握しておくことで、スムーズに学習が進められるメリットもあります。

思春期以降の診断 

子どもから大人への転換期でもある思春期は、体の変化が大きく、周囲と自分の違いに敏感になりがちで、気持ちも不安定になりやすい時期です。他の疾患や二次障害をきっかけに、ASDであることが判明することがあります。

成人以降の診断 

成人になると、それまでの経験をもとに、ASDの特性と上手く付き合えるようになることも多く、診断を必要としないケースもあります。一方で、就職をきっかけに、学生時代には目立たなかった特性が顕著になることもあります。また、二次障害や他の疾患の併発も見られるため、診断には注意が必要です。

ASDと診断されることで、適切な対処法が分かり、特性との付き合い方が楽になるケースが多い点は診断のメリットですが、ASDの特性は個人差が大きく、また、これまでの経験にも大きく左右されるため、診断名を確定することよりも、特性の内容を評価することが求められます。

健康診断は積極的に受診を

診断を受けることにより、より良い対処や適切な支援につながります。健康診断は子どもの発達状態を知るのに最適なツールの一つであるため、積極的に受診しましょう。

現在、新型コロナウイルス感染症対策のため、地域によって実施時期や実施方法が限定されていることがあります。詳細は、お住まいの自治体のホームページでご確認ください。

参考文献

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340AC0000000141

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken15/dl/03.pdf

https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-health-pro-topics/mh-pro-topics001/

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