更新日 2021.5.29 発達障害とは
~自閉スペクトラム症、学習障害との違いとは?~
発達障害は主に3つのタイプがあります。それは、①注意が持続できず衝動性が高い「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」、②人とのコミュニケーションが難しい「自閉スペクトラム症(ASD)」、③読み書きや計算などが極端に苦手な「学習障害(限局性学習症、LD)」の3つです。これら複数のタイプをあわせ持っているお子さんもいます。
それぞれの特性を知ることは、適切な対応や治療を早期から行えるメリットがあります。そして、お子さんやご家族の悩みや不安を軽減させることにもつながります。
この記事では、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断基準や簡単なセルフチェック、自閉症、学習障害との違いなどを紹介します。
発達障害には3つのタイプがあり、最も多くのお子さんが属するタイプがADHDです。おおむね、国内の小・中学生の20人に1人がADHDだといわれています。
ADHDの特徴は「不注意」と「多動性・衝動性」の2つがあります。その診断は、アメリカ精神医学会のDSM-5の基準を用いて行われます。ADHDの原因は、はっきりとわかっていませんが、さまざまな研究から脳機能の問題などにより、注意や行動をコントロールすることが難しくなっていると考えられています。
症状が見られる年齢
ADHDは生まれつきのものですが、特徴がはっきりと分かるのは、小学校の入学後が多いようです。小学校では、保育園や幼稚園よりも集団行動やルールを守る機会が増えます。そこで他の子どもとのトラブルが目立ちはじめ、専門機関に相談をするというケースもあります。
ADHDの診断には、「不注意」と「多動性・衝動性」の症状をチェックする方法が用いられます。それぞれの症状が9項目のうち6項目以上見られ、6カ月以上継続し、家庭での生活や学校での活動や学業で困難さを感じはじめた場合、ADHDの可能性が考えられます。チェックしてみましょう。
不注意の症状チェック
多動性、衝動性の症状チェック
自閉スペクトラム症は、さまざまな遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳機能障害です。知的障害や言語障害の有無を明らかにし、ADHDとの併存の有無を確認することが重要です。
学習障害(限局性学習症、LD)は、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する、特異的な発達障害のひとつです。ADHDや自閉スペクトラム症などを伴う場合には、それらに配慮した学習支援が必要となります。
「学校での約束事が守れない」「友だちの遊びを邪魔する」「走り回る」などの問題行動が目立ちはじめるADHDのお子さんは、家や学校で叱られる機会が増えてきます。その結果、ネガティブな自己イメージを持ちやすくなります。
気分が落ち込み、不安を抱えて過ごすと生活にも影響がでます。ADHDのお子さんには、睡眠障害が起こる可能性が高いといわれています。睡眠と覚醒のリズム障害が起きて「寝つきが悪い」「夜泣きがひどい」「ぐっすり眠れない」といった症状が見られることがあります。
ADHDの行動や特性を否定するのではなく前向きにとらえることが大切です。ポジティブな思考で関わり、適切な治療や対応を続けることでお子さんの困難さが改善されるケースは多いでしょう。
いつの時代にも、日本や世界にはADHDだった偉人が数多くいます。
日本で有名なのは黄熱病の研究で知られる野口英世です。野口英世は「過剰集中」といって、ひとつのことに集中すると寝食を忘れるほどでした。しかし、それ以外のことはまったくずぼらで、アメリカで生活していたときも何日も同じ服を着て過ごしていたそうです。
海外では、音楽家のモーツアルトが有名です。オペラや管弦楽曲、ピアノ曲といった多岐にわたる分野で大きな功績を残し、現代においても人気を誇る作曲家です。
モーツアルトは子どもの頃、非常に「多動」だったことが知られています。音楽家だった父の影響を受け、5歳の頃に作曲をはじめたモーツアルト。父はよき理解者となり、音楽に打ち込むモーツアルトをほめ、彼の才能を伸ばしていったのです。
ADHDの人は、好きなことには、とことんこだわるという特徴があります。マイナス面だけでなくプラス面に目を向けて育てることが、お子さんの個性を活かし、才能を開花させる秘訣かもしれません。
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