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お子さまの「自閉症(ASD)」の特徴をわかりやすく解説

更新日 2021.10.8 発達障害とは

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、発達障害のひとつです。代表的な症状としては「コミュニケーションの障害」「行動や興味のこだわり(想像力の障害)」があり、感覚過敏などもみられます。

一般的に知られている「自閉症」ですが、アメリカ精神医学会が作成した診断基準である『DSM-5』が2013年に刊行されたのを機に、自閉症や広汎性発達障害、アスペルガー症候群などをまとめて「自閉症スペクトラム症(ASD)」と表現するようになりました。ただし、この記事では、わかりやすく「自閉症」という表記を用いて、典型的な特徴を解説していきたいと思います。

≪自閉症とは≫ 

自閉症の原因は、先天的な脳機能の違いと考えられていますが、明確な原因はまだわかっていません。最近は自閉症を、お子さんの持って生まれた「特有の性質(特性)」と捉えることが主流となっています。

治療は基本的に、一人ひとりの特性に合わせた教育的方法、いわゆる「療育」が行われることが多いです。療育とは、障害のあるお子さんの発達を促し、自立して生活できるように援助する取り組みです。療育は、基本的に知的障害、精神障害(発達障害を含む)、身体障害のいずれかに該当する18歳以下の児童が対象となります。

療育を受けることで、生活におけるさまざまな支障を軽減することができますが、他害や自傷行為、パニック、不眠などがある場合には薬物が処方されることもあります。

自閉症のお子さんは、その特性を周囲に理解してもらいにくく、心ない暴言を浴びる、暴力を振るわれるなどのいじめの被害に遭うことがあります。そうなる前に、お子さんの特性を家族や周囲が正しく理解し、本人の「生きづらさ」を軽減することが自閉症への対応の基本となります。

≪自閉症の特徴≫  

自閉症は、早ければ1歳を過ぎたあたりからその可能性を指摘されることがあります。女の子よりも男の子に多くみられ、多くのケースである程度の知的障害が認められます。

ここでは、自閉症が疑われるお子さんにみられる、3つの特徴について解説します。

1. コミュニケーションの障害

自閉症のお子さんは、スムーズにコミュニケーションをとるのが苦手です。対人関係では相手の表情や言葉の裏の真意を察したり、空気を読んだりするのが苦手です。幼児期には「あやしても目が合わない」「バイバイするときに手のひらを自分に向ける」「人見知りや親の後追いをしない」などの特徴がみられます。

言葉を話すようになっても、妙に大人びた言葉遣いや、セリフを棒読みするような話し方がみられます。また、友達との距離感がつかめず、不用意な発言をしてひんしゅくを買うことも。

相手の表情や話しぶり、視線などから気持ちをくみとることが苦手なので、社会的に孤立してしまうこともあります。

<コミュニケーション障害の主な特徴>

①会話のやりとり、感情の共有がむずかしい

②年齢に応じた対人関係が築けない

③他人と交流するとき、身振り手振りなどのコミュニケーションがとれない

2. 行動や興味のこだわり(想像力の障害)

自閉症のお子さんは、幼少期から特定のものごとや自分のルールに強いこだわりを示します。また、好き嫌いが極端で一部分への興味や関心が強く、その領域では特異な才能を見せる反面、それ以外は苦手になりやすいといわれています。

電車や昆虫、恐竜や数字、地図やアニメなどに強いこだわり持つお子さんも多くいます。また、ひとつのことに集中しすぎて周囲がみえなくなることもあります。順番や競争などで思うようにならないとパニックを起こし、相手とトラブルになることも。いつも同じでないと気が済まない、状況に合わせて柔軟に変更することができないという特徴もみられます。

<行動や興味のこだわり(想像力障害)の特徴>

①常に同じ会話や動きを繰り返す

②非常に限定的で固執した興味がある

③同一性への強いこだわりがある

3. 感覚のかたより

自閉症のお子さんの中には、周囲が気にしない物音に敏感に反応する、特定の肌触りの服が着られない、手をつなぐのが苦痛であるなど、感覚にかたよりがある子もいます。また運動が苦手で、身体の動かし方がぎこちない場合もあります。

音や光などの感覚刺激に対して極度に過敏、もしくは鈍感な自閉症のお子さんもおり、こうした感覚の特性によって「生きづらさ」を感じている方も少なくないようです。

こういった症状がみられる場合は、その子が持って生まれた特性を理解して、家族や周囲が生活環境を整えていくサポートが大切になるでしょう。

<感覚のかたより例>

聴覚:大声で話しかけられても全く気がつかない、花火や信号機の音に対し苦痛を感じる

視覚:横目でものを見る、隙間からものを見る

触覚:自分の頭を叩くなどの自己刺激行動

≪自閉症の特性を理解しよう≫ 

自閉症はいまだに明確な原因が解明されていないため、症状を根本から解決する特効薬は今のところありません。しかし、自閉症の特性を理解し早めに対処することで、お子さんの「生きづらさ」を軽減することは可能です。

療育をはじめ、薬物療法や食事療法、音楽療法などの対処法も増えているため、少しでも気になることがあれば、まずは専門機関に相談してみましょう。

<参考>

児童福祉法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164#259

よこはま発達クリニック

https://www.ypdc.net/

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