我が国における発達障害の早期支援-そのアウトカムと社会実装- —ABAに基づいた発達支援の選択肢を親子に届けるために—
2022年冬号J-ABAニューズ<公募企画シンポジウム2開催記>https://j-aba.jp/journal/newsletters.html
原口英之・熊仁美・井口妙子・井上雅彦・鈴木久也
国立精神・神経医療研究センター/ NPO法人ADDS/ 倉吉市健康福祉部子ども家庭課/ 鳥取大学医学系 研究科/ 厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室
ADDSは、エビデンスに基づく実践を通じて、あらゆる⽴場の⽅と⼿を取り合い、ともに希望ある社会の実現を⽬指します。
今回のシンポジウムで我が国にて志高く実践や研究に取り組まれる 先生方のお話を伺い、非常に刺激を頂きました。 制度として ABA に基づいた支援をひろく普及 していくためは、各地域の課題や個々の親子の ニーズに合わせて、現場が個別最適化した形で プログラムを「使いこなす」ためのエビデンス が求められていると感じました。そのためにも、 「評価」の仕組みを日々の支援に定着させてい くことが、重要なステップなのは間違いありま せん。地域での実践が進まない障壁として、本 日も指摘があったような予算や、人材の確保の 問題などはどの地域にも共通する課題です。自 治体や支援者間で、課題や解決のノウハウを相 互共有していく仕組みの重要性も改めて感じま した。今後の方向性として、どんな対象にどう いう効果があったか、対象に合わせて個別最適 化されたプログラムや支援メニューの構成とは どういうものか、という点について、科学技術 なども上手く活用しながら、研究を進めていきたいと考えます。(ADDS共同代表 熊仁美)
本シンポジウムの目的
我が国における応用行動分析学(ABA)に基 づいた発達障害の早期支援について、①早期支 援におけるアウトカムの妥当性、②日本社会へ の効果的な実装方略や政策的課題の 2 点を踏ま えた 3 件の話題提供を行いました。また、厚労 省の障害児・発達障害者支援室専門官政策的観 点を交えた指定討論を通じて、わが国の ABA に 基づいた早期支援の実態について理解を深め、 自治体等を基盤とした社会実装や仕組みづくり をどのように加速し広げていくか、検討を行うことを目的としました。